三谷の郷愁風景

愛知県蒲郡市<港町> 地図
 町並度 4 非俗化度 8 −三河湾沿いの代表的な港町の一つ−

             

三谷町の国道23号線沿いの町並


 蒲郡市三谷町は中心市街地の東に隣接し、三谷温泉で知られている。
 三河湾に面するところで、古くは港町としての栄えがあった。江戸末期の文久期には35隻の廻船を有していたとされ、また伊勢との海運が盛んに行われていた。これは地形的に海路を辿ることにより時間短縮が図れることが重宝されたのだろう。公命により紀州藩の役人を乗せ、伊勢松坂(松阪)から三河吉田(豊橋)との間を頻繁に往復した記録も残っている。松平氏の年貢廻米も三谷村の担当であった。 
 廻船業が盛んになるにつれ商業の集積が興り、醸造業などの発展にその例を求めることができる。明治初頭の記録では酒造家8軒、醤油醸造家3軒、味醂醸造家5軒があり、当時の宝飯郡内では抜群の数であった。
 地図を見ると国道23号線から東海道本線の間で複雑に路地が入組んでおり、寺社も散在し古い町であることは容易に察せられる。しかしこの一帯は古い町並は残っていなかった。むしろ国道沿いに間口の広い旧家が見られ、一部では連続性を保っていた。港に近いこのあたりに財力のある商家が集まっていたのだろう。裏路地にも一部伝統的な建物が残っていたが、国道沿いに見られるものとは格の違いを感じさせた。
 国道沿いは交通量が多く、落着いて町並を歩けないのが難点である。
 
 









訪問日:2010.01.02 TOP 町並INDEX