宮津の郷愁風景

京都府宮津市<港町・城下町> 地図
 町並度 5 非俗化度 7 −天橋立の陰に古い町並−
 




 古い造りの醤油屋。香ばしい匂いが辺りに漂っていました。 重文の三上家住宅




造り酒屋




これは町家風の長屋?? 面白い建物でした。 万町の町並。本うだつが見えます。
          
 

 宮津市は有名な天橋立が対句のような町で、そのイメージが先行しがちであるが旧市街には古い町並もある。しかもその一角には国重文に指定された三上家住宅が公開されている。妻入りの厳かな主屋をはじめ豪華で細やかなこだわりを持った座敷、奥には見事な庭園もある。
 三上家は江戸時代に廻船業で富を築いた旧家で、酒造業も営み、後には宮津藩の財政にも深く関与する家柄にあった。幕府巡見使の本陣としても利用され、専用の門なども見事に残っている
(公開・250円)
 この三上家周辺の街路は緩やかな弧を描く海岸線に従って扇形になっているのが面白い。そして海岸に向う縦軸の路地は要こそ作らないが、碁盤目状に交わり海岸に近くなるに従いその目が狭くなっている。
 その近辺に町並が見られる。赤い煉瓦煙突が印象的な造り酒屋、板塀と白漆喰の鮮やかな醤油醸造業者、平入りの伝統的な町家の残る界隈と、市街地の西側は古い時代の町の姿を残している。また海岸に近い地区には新浜遊郭と呼ばれた、遊女屋がまとまっていた地区もあった。その付近を歩いているといまでも何となく華美な雰囲気が残照として残っているような、独特の風情が味わえた。
 宮津は中世より城も築かれ、17世紀頃に京極氏が宮津に入った頃に城下町が形成されたという。この整然とした町割はそのためである。入海に位置することから良津とされ、商業も発達していった。丹後宮津の名は港町として各国に知られ、丹後一円で盛んであった縮緬産業などの地場産業も栄えていて、今に残る古い町並はその頃の佇まいを僅かに伝えるものとして貴重なものといえよう。
 古い町並としてはほとんど注目されることの無いこの宮津である。知られていないからこそ価値のある町並ともいえる。
 


訪問日:2004.08.13 TOP 町並INDEX