小田宿野の郷愁風景

京都府宮津市<漁村> 地図 
 町並度 5 非俗化度 10 −街村的に展開する漁村集落−

    




 
天橋立のある宮津湾と若狭湾との間を隔てる栗田半島。その東岸は西岸に比べ比較的平地もあり、集落も連続している。小田宿野地区は、そうした一角の小さな入江に沿う穏やかそうな風光のもとにある。
 もともと小田村・宿野村という別個の村だったとされるが、江戸期のうちには小田宿野村となっていた。一部幕府領だった時代もあるが多くの期間は宮津藩領で、漁村としての歴史は古く地引網・差網・敷網などの沿岸・近海漁業が主だったが、明治期の「共武政表」(当時の陸軍省参謀本部の調査による現在の国勢調査にあたるもの)では、鰯・蛸・鱈・烏賊の他鯨も当地の物産品として挙げられている。
 2車線の県道が地内を通っているが、集落から離れたやや高い位置に造られているため家並は比較的原形を留めているといえよう。海岸沿いに平行して連なる街村的な展開を示し、各家の間口は狭く密集している。妻入り・平入り混在でやや前者の方が優勢か。その中にあって、煙抜きの越屋根を持った立派な母屋を持つ商家風の建物、土蔵などがアクセントを添える。
 一本道に沿いなかなか長距離にわたって家並が続く。決定的に見応えのある旧家があるわけではないが、その連続性から古い町並としても評価できよう。




   

訪問日:2016.11.12 TOP 町並INDEX