十日市の郷愁風景

広島県三次市【商業町】 地図
町並度 4 非俗化度 8 −三次三町の一つとして歴史深い町−




十日市中三丁目の町並


 三次市は広島県北部の中心的な町で、古くから山陰との結節点、商業の拠点として栄えていた。江川の支流馬洗川の左岸に開ける旧三次町と対峙して賑わった十日市町をここで紹介する。
 中世の市地名が由来とされるようにここには定期的に市が立ち、三次町ともども商業地として町場が立地していた。特に牛馬の取引が盛んで、延享3(「1746)年の記録では『当町毎年四月下旬、八月下旬之頃牛馬位置立アリ、(中略)近国ヨリ牛馬夥シク入込、其上芝居見世物沢山集リ遊女芸子之類茶店ノ賑ヒ、牛馬売買之交易不少候、誠ニ近国稀ナル市ト申伝候』(「国郡志書出帳」)とある。








 

 
 町域には三次駅をはじめ現在の市街中心地区も含まれる。しかし歴史深いのは川に近い地区で、美しいアーチ橋の巴橋とで対岸の旧三次町とが結ばれている。但し、三次町と異なり伝統的な建物を意識している姿は見受けられなかった。近代になって三次駅を中心とした新市街地として開けたこともあり、その多くでは近代的な外観の風景である。
 しかし一部では虫籠窓の商家や袖壁を従えた町家が残り、また一部にはかつて旅館街だったであろう一角も残っていた。江の川の川運が盛んだった時期、また鉄道以前の時期には繁盛していた地区に違いなく、その残像が今に残っているのかも知れなかった。
 

訪問日:2011.12.05 TOP 町並INDEX