溝口宿の郷愁風景

鳥取県溝口町<宿場町> 地図 <伯耆町>
 町並度 3 非俗化度 9  −出雲街道の宿駅であった−







伯耆溝口駅入口付近の町並

塀を四囲に巡らし、広い中庭を備えた住宅。1階部も格子戸が外されず昔のままで、張瓦、なまこ壁など町家形式のよく残る旧家です。




左の旧家も煙出しなどを備え趣深いのですが、かなり傷みが激しく惜しまれます。 これは最近改築されたようです。しかし小さな袖壁、厨子二階形式を守り町並景観に寄与しています。
街道北側の町並 黒板塀の小路もありますが趣を感じさせる風景はわずかです。
 


 溝口町は大山の西麓の町である。この辺りより見る大山の形容は美しく、伯耆富士のいわれとなった。駅の西側にはバスターミナルがあり、登山バスが出ている。しかしその広い敷地の割には発着するバスの本数が非常に少なく、閑散としている。マイカーの普及前はこの伯耆溝口駅とともに大山登山の表玄関として栄えていたという。
 しかし、この町の繁栄の歴史はさらに古い時代にさかのぼる。江戸時代ここは出雲街道が通り、参勤交代にも利用されていたのである。現在近代的なビル建築となっている町役場の付近に本陣が置かれ、松江藩営のこの本陣は特に御茶屋と呼ばれていた。登山口としての位置付けも当時からあり、市も定期的に開かれていた。
 現在の町並の静けさにそれを見出すことはできない。家並も櫛の歯が欠けるように更新されて行ったのであろう、1キロに満たない旧街道沿いの所々に漆喰に塗られた古い様式の旧家が残っているだけである。それでもこの町は古い町並を見直そうという意識があるらしく、伝統的な造りの民家の一部に明らかに近年大掛かりに改築されたものを見かけた。古いものは中二階建てだが一階部も丈が低いので非常に背が低く見える。これらは江戸末期から明治初期の建築と思われるがそれ以降に建てられた大きな総二階建ての並ぶ一角もあり、その中間に近代的な建物が続いている。必ずしも連続した町並景観があるわけではない。しかしこのような小さな町並でも住民の保存に対する意識が高いことは、評価に値すべきであろう。

 
 


訪問日:2002.07.07 TOP 町並INDEX