茂原の郷愁風景

千葉県茂原市<在郷町> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 8  −古くから定期市が開かれた商業の拠点−




茂原の町並


 茂原市は房総半島北部、内陸部に位置するが市域はほぼ低平な平野部で占められる。
 江戸時代から定期市が開設されるなど商業的な中心としての発達がこの町の基盤といえる。茂原村では4・9の日に開かれていたほか、周囲の本納村・大網村・長南村・一宮村でも別の日に開くこととされており、「五ヶ村組市場」と呼ばれ近隣地域でほぼ毎日開設されていた。取扱われる品は魚介類をはじめ塩、雑穀などで、内陸部と海岸部の品々の交易が行われていた。
 この市場町の発達により街道上に市街地が集積し、また周辺では大規模な新田開発が行われ大きく発展を見た。また江戸後期になると、周辺諸村で生産される木綿を買い集め各地に販売する商人が多く現れ、「上総木綿」の名で知られた。
 一方でこの地区で特筆される産物に天然ガスがあり、江戸の頃よりその存在は知られていたが明治後年になると熱源や照明などとして本格的に使われるようになった。昭和6年には会社組織となり、以後内陸工業都市として発達する元となった。
 市役所の南東方向、国道128号線沿いに切妻や寄棟屋根の商家建築が散見される。旅館も残っておりこの付近が町場として最も栄えていた地区なのだろう。本町交差点から北に向うあたりには看板建築の商店、国道の1本北側にあたる東西の街路に面しては木造の古びた商店や門を構えた邸宅が見られるなど、古い町並はやや面的な展開を見せている。
 質的にはまずまずのものが残っているものの、町並として連続した箇所が乏しいのが惜しまれるところである。
 










看板建築の連なる一角もある

訪問日:2016.04.30 TOP 町並INDEX