本納の郷愁風景

千葉県茂原市【街道集落・在郷町】 地図 
 町並度 3 非俗化度 9  −房総東往還沿いの町並−


 茂原市街地より北に5km弱に本納地区がある。外房線を挟んで東側に国道126号、西に旧道がある。
 中世には房州里見氏の支城であった本納城が構えられていた。天正18(1590)年の小田原城落城に伴い徳川傘下の旗本知行地となり廃城となっている。











 藩政時代には、房総東往還と呼ばれた街道上に定期的に市が立ち、町場が形成されていた。取引される品は日用品等の小規模なもので、ささやかながら在郷町的賑わいを示していたのだろう。宿駅機能があったかどうかははっきりしないが街道の要衝であったことは間違いないと思われる。
 直角に二度折れ曲り遠見遮断が図られるなど、街道上の主要な集落らしい体裁が残っていた。あるいはこれは城下町時代に備えられていたものなのなのかもしれない。
 ただ家並からはその歴史を感じ取りにくくなっているのが惜しまれる。平入り、一部に寄棟屋根も見られる伝統的な構えの建物が散見されるが、連なっている箇所はなく古い町並としての体裁は淡いものだった。地元も特に認識されていない様子で、今後これらの建物も徐々に失われ、町並風景から往時を偲ぶことは困難になっていくのではと思わせた。


訪問日:2016.04.30 TOP 町並INDEX