門司港の郷愁風景

北九州市門司区<港町> 地図
 町並度 5 非俗化度 0 −貿易の最前線であった港町−


波止場より眺める旧門司税関(M45建築)右側奥に小さく見える洋風建築は国際友好図書館。門司を代表する町並風景ですが、背後に無機質に聳える観光タワーが景観を乱しています。


        

重文の門司港駅舎。ホームの突当りが駅舎という、頭端(とうたん)式の駅で終着駅らしい構えです。

旧大阪商船

 

港地区より少し山側にある造り酒屋ですが町家風の正面像と煉瓦造りの側面像という奇妙な建築物です。これも門司港ならではでしょうか。


 

小倉周辺の発展に反し、門司地区はうらぶれた雰囲気が強い。門司駅は12両も停車できるような長く幅の広いホームに、重厚とした鉄骨屋根が掛けられているが、それに比べ列車を待つ人の姿は少なく、構えが大都市の主要駅のようであるだけに哀愁感を感じさせる構内である。
 隣駅の鹿児島本線起点・門司港駅はかつて関門連絡船の乗換駅であり、現在でも駅舎に近い部分に連絡通路の跡が残る。この駅も今では悪く言えば場末の終着駅の雰囲気があるが、その駅舎は1914年建築の洋風建築で、国指定重要文化財である。外観にとどまらず切符売場、便所に至るまで当時のままで、貴重な建造物としての価値も高い。
 ここは明治時代より貿易港として、大陸への門戸としての顔であった。この駅舎にとどまらず、駅周辺には旧税関などの当時の洋風建築が多く残り、独特の町並景観を形成している。
 ただし、このエリアは今や完全に観光地化され、遊覧船発着場や土産物屋が建ち並び、町並というよりはテーマパークのようになっており、郷愁を感じることは困難である。


訪問日:2002.03.03 TOP 町並INDEX