錦町界隈の郷愁風景

北九州市門司区<花街・商業地> 地図
町並度 4 非俗化度 6  −門司港の賑わいを今に示すもと料亭街−


 門司港駅付近から東側の港湾地帯は港町門司を象徴する近代建築群や倉庫群、店舗などが並ぶ観光地域となっており、対岸の下関唐戸地区とともに賑わいを示している。
 一方で駅より山手の地域に足を向けると、徐々にその色彩は淡くなり商店街や住宅地が展開する地区となる。ここでは特に古くは繁華街の中心であった錦町・清滝地区を中心に紹介する。
本町の「三宜楼坂」の町並




錦町の町並




 清滝四丁目の町並 錦町の町並 


 
 栄町の商店街を抜け本町にさしかかると、小高い所に重厚な木造建築が目に入る。この地区を象徴する建物・旧料亭の三宜楼である。貿易や鉄道などの大手企業が集積していたかつての門司では、社交場としての料亭が多く建てられていた。また、その膨大な需要はむろん高級な料亭のみならず、数多くの飲食店、さらには遊興の施設も建てられた。
 錦町を中心とした界隈は明治後期から大正にかけ多数の料亭があり、昭和に入ると錦町検番、仲町検番などが合併し門司二葉検番となった。周辺には置屋も多くあったそうで、海の玄関として現在とは比較にならない重要な町であった門司の賑わいにあって、繁華な花街が展開していたという。
 三宜楼から北にむかう小路は三宜楼坂と呼ばれ、そこから右に折れ錦町界隈に向かうと、派生する路地を中心に木造の古びた町並が見られ、また山裾に近い清滝地区にも町家建築や一部には三階建も残っていた。しかし連続的な個所はわずかであり、ましてや遊興街を思わせる華美さを感じることは困難な状況であった。地味な古い町並とは異なり、もと花街となると俄然ネット等で紹介されたり探訪記などがUPされる数が増えるのだが、それらには少し前のものも残されているようで現在の姿とは少し違う部分もあるようだ。
 しかしそれでも、門司港の繁栄の一端を見るには価値のある散策になるだろう。




錦町の町並 
訪問日:2019.10.14 TOP 町並INDEX