三倉の郷愁風景

静岡県森町<街道集落> 地図
 町並度 4 非俗化度 10  −三倉川沿いの街道集落 秋葉神社に向かう客で賑った−





街道集落らしい佇まいを見せる三倉の町並
  

 東遠州内陸部の物流の拠点であった森町から北に向う道は秋葉神社への参道であった。火防(ひぶせ)の神として崇められた秋葉神社は今とは比較にならないほどの賑わいを見せ、全国一円から参詣者を迎え入れた。秋葉街道と呼ばれる街路も無数にあり、この森から北上する道筋は東国から東海道を辿ってきた客に多く利用されていたという。
 10kmほど北上したところに三倉という集落がある。数本の支流を合するところにあり、また幾本かの小街道もここに収斂している。それらもまた秋葉神社に向かう道として開かれたという。
 かと云って大きな盆地を擁するわけでなく、山峡の趣ではあるものの、街道の要所であったことは今訪ねても容易に想像がつく。
 天保6(1835)の記録によると、旅籠屋として営業される家が9軒もあったという。秋葉山に登る客が続々と旅装を解き、明日の参拝に備えていたのか。また近くには大日山・春埜山という、秋葉山とならんで霊山として崇敬されていた山々もあり、それらへの客の需要もあったという。
 三倉の集落は県道が三倉川右岸にバイパス路を造ったことにより、左岸に町割もそのままに残っているようだ。旅館だったと思われる二階建の木造建築が3・4棟見られる。これだけで古い町並としての風格を感じさせるものであるが、ほかにも一階部分がガラスの引戸などであってかつては店舗だっただろう姿も多く、往時はかなり賑やかなところだったのだろうと思わせた。
 ここから北に進むと小さな峠を越え、気田川流域に至ると秋葉神社も近い。


 


 
   


 
   
   

訪問日:2019.11.03 TOP 町並INDEX