紺屋町界隈の郷愁風景

盛岡市紺屋町他【城下町】地図  
  
町並度 5 非俗化度 4
 −洋風建築・商家群が市街中心に残る−


紺屋町付近には洋風の外観を保つ建築物が多い 左:旧岩手銀行 右:盛岡市消防団第五分団

 

 
 盛岡は周囲の山々と市街地を流れる川の情景が印象的な美しい町である。
 寛永10(1633)年に盛岡城が落成し、南部氏により城下町が本格的に造営された。現在も市街中心に威容をほこる城址の北側を家臣屋敷、城郭を取り囲むように町人町、士町が計画された。十数年で盛岡二十三町と呼ばれる中心街が形成され、その入口には惣門や枡形が設けられ城下町が守護された。
 ここで紹介する紺屋町付近は現在でも市街地の中心に位置し、市役所や盛岡城址と中津川を隔てて対峙する。ビル建築などの目立つ対岸とは一転して静かな佇まいとなり、官庁地区に隣接しながらもマンションなどの住宅地も目立つところである。そして随所に古い町の様子が残り、一部には町家風の商家建築が連続する風景もあった。これは市街中心にあっては珍しいといえる。
 それらとともに特筆されるのが洋風の建物が多く残っていることだ。代表的な旧岩手銀行中ノ橋支店は東京駅の設計も手がけた辰野金吾の遺作であり、迫力すら感じさせる煉瓦建築だ。この建物に中津川の流れを配した風景は美しく、盛岡の町を象徴するものであろう。その他にも消防団の事務所として現役の建物、中ノ橋通一丁目にある旧盛岡貯蓄銀行などが挙げられる。
 県都の中心街にあって貴重な姿であり、盛岡の町の個性でもある。ぜひとも保持していただきたい町並であると思いながら後にした。
 


 

紺屋町一丁目の町並 町家が連続した風景が見られる





訪問日:2012.08.14 TOP 町並INDEX