師崎の郷愁風景

愛知県南知多町【漁村・港町】 地図
 町並度 5 非俗化度 8 −知多半島最南端の町−



師崎の町並

 師崎は知多半島の南端にある漁港で、南東に迫る渥美半島とともに三河湾の湾口を狭める。海峡部には篠島・日間賀島などの島が点在し、その玄関ともなっている。
 古くは幡頭崎と呼ばれ、半島の先端という海上交通上の要地であったため城も構えられていたという。 




 細い路地に木質感の高い建物が連続している


 江戸時代より廻船を持つ家が多くあり、また近隣の諸島とを結ぶ玄関として賑った。伊勢・三河湾を結ぶこの地域は重要な海上交通の拠点で、17世紀半ば頃には町域北西部の内海とあわせ121艘の運送船を有していたとの記録がある。漁業も盛んで近海はもちろんのこと、遠洋漁業も行われ、鯨漁業の基地でもあった。
 半島先端の細長く突出た地形に小さな入江があり、その奥に集落がある。周囲は旅館や活魚料理店が多く、それらを目的とするドライブ客も見られるが、比較的素朴さの感じられる漁港の風景が展開している。
 国道より山手に入ると路地が支配する町並となる。この町には大型の商店がなく、細い小路のあちらこちらに小さな商店が現役で営業している姿が目に付く。少し前までは当り前の光景であったろうが今や貴重な風景といえる。伊勢湾沿岸地方を中心とした黒板壁は目立たないが、木質感の強い家々が連なる。二階部分に目立つ、雨戸と戸袋が特徴的であった。
 また路地のあちこちに小さな手押し車が置いてあるのも目立つ。それらは見たところ市販のものではなく手造りのようだ。聞くところによるとこれは漁師の奥さん方が水揚された魚介類を市場に運ぶか、または自宅に運び込むためのものとのことである。確かに籠に漁船の名が記してあるものが多く、また俎板がセットされているものもあって、もしかするとその場で魚をさばくのか。色々な想像をかき立てる押し車であった。
 半島の先端でその先は太平洋に通じる海であるが、渥美半島先端の伊良湖岬と志摩半島が迫る海峡部に守られて比較的波は穏やかだ。町並も長閑な雰囲気に満ちているように感じた。
 





訪問日:2008.03.23 TOP 町並INDEX