椋本の郷愁風景

三重県芸濃町<宿場町> 地図 <津市>
 
町並度 5 非俗化度 8  −伊勢参宮の街道沿いに発達した町−


 



開放的な街道集落の連なる椋本の町並




 椋本は芸濃町の中心地区で、伊勢平野の西端、丘陵の入り混じる地形のもとに開ける。地名の由来は付近にあった椋の大木のもとに先人が定住して町を開いたからといわれる。その大木は今でも残り、樹齢1000年以上と推定されている。
元旅籠の建物






 
 

 
 東海道の関宿より津方面に至る伊勢別街道が通り、津との中心位置にある椋本には宿駅が設置されていた。この街道は畿内や西国各地から東海道を経由してくる参宮客で賑わい、椋本宿を利用する者も多かった。藩の諸税・諸役が免除されるなどしたため旅籠や休息所をはじめ問屋や商家も多く立地した。
 また東海道の関宿や坂下宿の助郷村(参勤交代などの大通行時に宿駅業務を補佐する近隣の村)としても指定されていた。
 旧椋本宿の町並は街路幅が当時の脇街道としては非常に広く、悠々と2車線が確保されている。町家をはじめとした伝統的な建物が両側に残っているので、近年になって拡幅されたものではなかろう。それは鍵の手に直角に屈曲する箇所が残されていることからもわかる。
 その屈曲の位置にある角屋旅館は文字通り角地に立地し、広い間口の堂々たる旅館建築である。伊勢参宮の講札が多く店先に掲げられており、今でも現役であるというから驚きだ。この付近を中心として町家建築がある程度のまとまりで残っている。平入り妻入り混在で、渋い鼠色の瓦を葺きまた木質感が高い建物が多いため、落着いた重厚さが町家群から感じられる。
 街路が広いこともあって、訪ねていて開放感を覚える町並であった。
 
 
 


訪問日:2010.10.11 TOP 町並INDEX