村岡の郷愁風景

兵庫県村岡町<陣屋町> 地図 <香美町>
 
町並度 4 非俗化度 10  −但馬の名士・山名氏の陣屋町−




村岡の町並


 村岡は兵庫県の日本海側・但馬地方の山間部にある町で、近畿地方有数の積雪地帯でありスキー場も設けられている。香住町で日本海に流れ込む矢田川の中流から上流に位置しており、流域に広がるわずかな盆地に町場や集落が点在している。
 ここでは村岡町中心部を紹介するが、この山間の町はかつて陣屋が置かれ地域経済、政治の中心として機能していた。この村岡陣屋は旗本山名氏のもので、矢田川の支流湯舟川と、その更に支流の昆陽川の合流点付近の小盆地とそれに迫る山地を上手く利用して陣屋町が計画された。陣屋は当初昆陽川岸の平地に設置されたが、その後町を見下ろす尾白山の山腹に移っている。現在御殿山公園のある付近である。陣屋町は二つの川と陣屋により守られ、安全が確保されていた。川が外堀のような役割を果たしていたのだろう。
 現在も国道9号線が町を横切っているように、古くからの交通の要衝で旧山陰道の沿線でもあった。そのことも町場としてこの山間の町が発展したのだろう。
 陣屋町は旧山陰道を引入れて形成されたものであり、宿駅的な要素もおそらくあったに違いない。維新後陣屋は廃止されても、街道の往来は山陰本線が開通するまでは途切れることなく、宿屋や商店の建ち並ぶにぎやかな町だったことが町を歩くと想像できる。国道9号の南側、家並は昆陽川を渡った先にも長く連なっている。但し、古い町家風の建物が残るのはほとんど川の手前、かつての陣屋町の部分であった。
 伝統的な建物はほとんどが明治以降の建築のようで、立上りの高い2階建が主体であった。商店街として開発されたため、その密度は高くないが、一部にうだつを両妻部に掲げた旧家もあった。
 町中には「村岡城下町」という文字が目立ち、山名氏の築いた歴史を誇りにしているようであった。
 なお、香美町とは聞きなれぬ地名だが、これは近年日本海に面する旧城崎郡香住町、旧美方郡に属するこの村岡町、その西側の旧美方町が合併して出来たもので、現在では香住区、村岡区というように呼ばれている。
 







店舗に改装されているがうだつの旧家も残る



昆陽川付近から見る町並

訪問日:2006.05.27 TOP 町並INDEX