川内の郷愁風景

青森県川内町【港町】 地図 <むつ市>
 町並度 4 非俗化度 8 −木材移出などで栄えた下北半島有数の港町−




川内の町並 元廻船問屋の建物も残る


 川内町は下北半島の陸奥湾側、半島中心部に源を発する川内川により市街地周辺は比較的平地が展開している。
 半島は長らく陸路より海上交通が中心であり、この川内にも野辺地から田名部を経由する入海辺道と呼ばれる道があったとされるが、河口付近に港が整備され物資は専ら海路に依っていた。
 川内湊は藩指定の田名部七湊の一つとされ、寛文12(1672)年の記録では4月に上方船24艘、5月に商船24艘、7月中旬から下旬に上方船3艘、松前船7艘などとあり、各地から商船荷船が頻繁に出入りしていたことがわかる。積出される産物は木材と漁獲物で、特に檜は良質の木材として珍重された。上納品とされた海鼠も多く水揚げされた。
 また、大正時代には鉱山が開発され、折からの軍需もあり採掘される銅で潤った。鉱山労働者の流入による人口増は町制施行も決断させるほどであったが、大正末期には閉山となっている。
 古くからの市街地は河口部の主に左岸側で、海岸に並行する街路に沿い伝統的な建物が見られる。土蔵を従えた商家建築が数棟見られるのがこの町並の特筆される点で、これらはいずれも廻船問屋であったという。また町の中央にある八幡宮から続く参道沿いも商店が多く建ちならんでいたようで、古い町並が残っていた。
 探訪中少しお話した地元の方によるとメイン道路沿いはかつてほとんど商店で賑やかだったという。現在は現役の店舗も疎らな中、家具店が思わぬ立派な構えで店を開いている姿が印象的であった。
 廻船問屋の建物が残っているのは貴重なので、何とか保存していく手はないものだろうか。
 






 
訪問日:2018.04.30 TOP 町並INDEX