大湊の郷愁風景

青森県むつ市【港町】 地図 
 町並度 3 非俗化度 8 −軍港により発達した町−




海岸沿いにほぼ直線的に連なる 左:大湊上町 右:川守町の町並


 下北半島の中心都市であるむつ市の市街地は田名部地区と大湊地区に大きく分けられる。港町にその歴史を辿る大湊地区は恐山山地の外輪山にして半島の最高峰である釜臥山が市街地背面に屹立した山容を見せ、南は陸奥湾に面している。
 江戸期より特産のヒバ材を中心とした木材・海産物の移出港として栄えていた。その頃は安渡、大平の2港があったが、明治に入り大湊港と改称され現在に至る。
 町としての最盛期は軍港としての性格を強めてからで、第二次大戦まで軍事的色彩の濃い町であった。最盛期には軍関係を含めると6万人の人口を擁したといわれる。現在も海上自衛隊の基地がある。
 また国鉄大湊線が開通するまでは陸奥湾内など短中距離航路の拠点港となっていた。
 町並は海岸に沿い細長く展開し、途切れたところに自衛隊基地がある。軍港の栄えにより発達した町であり、古い町並という観点ではその頂点がやや新しい。伝統的な建物が連なるといった展開は少ないが、裏手に広い敷地を持つ立派な建築や、妻入りを中心とした商家風の建物も随所に見られる。軍関係者のための遊興地区もあったといわれ、或いはそのような目的で建てられたものもあるのかもしれない。
 特徴的なのが細長く連なる家並の背後に向けて何本も坂道があり、多くに名前が付されている点だ。軍港として人口を多く抱えていた時代、坂道に沿っても家々がひしめいていたのだろうか。また釜臥山の伏流水なのか、家並のあちこちから勢いよく水が自噴している姿も見える。町家度、旧家度としてはやや物足りないが、こうした情景も捨てがたいものがある。

 


この建物は木骨石造か 最も印象的かつ立派な建物であった




坂道沿いの町並 名付けられた坂道が多数ある
 
訪問日:2018.04.29 TOP 町並INDEX