長浜の郷愁風景

滋賀県長浜市城下町・宿場町・門前町
 
町並度 7 非俗化度 3 −湖北地方の中心地− 地図





元浜町の町並


 滋賀県北東部、湖北地方に位置する長浜市は豊臣秀吉の城下町として深い歴史を持つ。楽市楽座制により町人に対し年貢を免除したことなどによって自由な商取引が盛んに起り、今見る長浜の町の原型が形作られていった。琵琶湖岸に築城された長浜城から東へ大手門筋が伸び、やがて南北方向の北国街道と交差する。この付近が最も町として賑わいを示した一角という。
 北国街道は中山道の鳥居本宿より分岐し、越前や加賀などを結んでいた街道で北陸道とも呼ばれ、宿駅が設けられたこともありその繁栄に拍車をかけた。
 街道沿いに連なる町並は1km余りにわたり、町家建築を密度濃く連ねている。先の大手門筋と交差する辺りが特に大柄な商家が目立ち、一帯は訪れる観光客も多い。代表的な建物が黒壁と呼ばれるもと銀行の建物で、付近には町家を活用した土産物屋や喫茶店、ギャラリー等が多くの客を迎え入れている。代表的な商家建築・安藤家もこのエリアにある。
 北国街道をそのまま歩いていくと、北方面でも南方面でも潮が引くように人通りが少なくなっていく。生活が息づく本来の家並が連なっており、平入り町家の連続する軒線の美しさがあった。古びた看板を掲げた商店も多く残っており、街道沿いがこの町の商業の中心であったことを示しているようであった。
 長浜のもう一つの顔は門前町である。北国街道の東側、大通寺に向う参道は立派な門前町で、土産物屋などがひしめく。町の人々には御坊さんと呼ばれ親しまれ、湖北における浄土真宗の拠点ともなり訪れる人々が絶えなかった。黒壁付近と同様、やや観光地化した向きがあるものの素材はつし二階の町家など伝統的なものであり、それほど気にならない。門前と北国街道を結ぶ東西の通りは商店街となっているが、大通寺に近い辺りではアーケードが外され、伝統的な町並を表に出している。但し電柱を家々の間に引っ込めて、架線位置を高くして家並との遮断を図っているのは、その努力は評価できるものの、却って電柱の存在が際立って私は失敗であると感じた。
 城下町・宿場町・門前町として一つの完成された都市をこの町に感じることが出来る。それは碁盤目に整備され計画的に町割がなされた城下町時代の基盤があってこそだろう。辻を曲ると新たな古い町並が展開してくる楽しさがこの町にはある。
  




元浜町の町並




元浜町(大通寺門前)の町並 朝日町の町並




朝日町の町並



訪問日:2009.07.19 TOP 町並INDEX