丸山町界隈の郷愁風景

長崎市丸山町他<花街> 地図
 
町並度 5 非俗化度 3 −日本三大遊郭と称された遊興街−





丸山町の町並 長崎検番横の路地を入っていくと趣のある町並風景が展開している




 長崎駅前から路面電車で15分ほど、思案橋電停で降り南に歩き始めると、辺りは繁華街が展開する。賑やかな一角は古き時代から受継がれており、丸山町を中心として江戸時代以来の遊興地区であった。







カステラの老舗・福砂屋 虫籠窓を纏った商家風建築だ





 丸山遊郭は既に17世紀中盤には成立していたといわれ、それは市街地各地に散在していた置屋や遊女屋をここに集めて本格的な遊興地区として計画したことによる。
 江戸期に唯一海外との貿易を行っていた長崎にあって、この遊郭はかなり知名度も高く、江戸の吉原や京都島原と並び称されるほどであり、三大遊郭の一端とされた。実際その賑わいも甚しかったらしく、かの井原西鶴は、この丸山遊郭を形容して「長崎に丸山という所なくば、上方の金銀無事帰宅すべし」と記したとされる。
 路面電車の通りから徐々に遠ざかっていくと、次第に現代の繁華街はその色を薄めていき、商業地と住宅地が展開し始める。そうした一角に2階部に木製欄干を従えた伝統的建物が眼に入る。長崎検番との木札がかかりっており、丸山遊郭の名残を留める代表的な建築物である。
 この建物横から細い路地が伸びている。道はやや上り坂となり、少し進んだ位置より振り返ると風情ある小路風景が展開していた。その他にも派生する路地も趣があり、また中の茶屋など遊郭時代の残影を感じさせる名所もある。しかし歩いていても淫靡な雰囲気はほとんどないといってよく、むしろ坂道に展開する懐かしい町の風景といった風情である。それがまた少人数の探訪客や観光客から、好んで町歩きのスポットととして着目されている理由だろう。
 また一角には長崎名物カステラの老舗・福砂屋が大きく存在感を示している。和風の外観は少々周囲に不釣合いなほど豪勢で、またこの地域をはじめ九州の古い建物ではほとんど見ることの出来ない虫籠窓を二階部全面に施した姿は異質でありまた見応えするものである。
 
 


訪問日:2010.08.14 TOP 町並INDEX