東山手・南山手の郷愁風景

長崎市東山手町・南山手町他<洋館群> 
地図
(東山手町)地図(南山手町)
町並度 5 非俗化度 1 −港を望む高台に展開する洋館群−






オランダ坂に接する活水女子学園をはじめとした洋館群


 この東山手及び南山手地区は長崎を代表する観光地も含まれ、また点在する洋館群が長崎を象徴するものとして重要伝統的建造物群保存地区ともなっており、訪れる人も多い。
 東山手ではオランダ坂、南山手では旧グラバー邸(グラバー園)や大浦天主堂などがその核となり観光客が多い。
 長崎が鎖国政策下においても中国とオランダのみ門戸を開いていたことは説明するまでもないことであるが、当時眼にする西洋人というとオランダ人のみであったため、外国=オランダという認識から西洋人の居館が建ちならんだ東山手地区とを結ぶ坂道をオランダ坂と名付けたのは自然なことであろう。神戸や横浜などの他の代表的な港町が幕末の開国後に栄えたのとは異なり、江戸期を通じて海外とのつながりが継続していたことで、長崎は歴史的にわが国でも特異な位置付けを記した町である。
 オランダ坂に接しては活水女子学園の建物群が異彩を放っている。これは明治になってわが国の基督系女学院の草分として発足したものである。東山手及び南山手地区が実際外国人居留地として造成されたのは開国後のことであるが、その下地として出島を中心とした交易があったことは疑いのないことだ。石畳の路地を下っていくと斜面に立ち並ぶ下見板貼りの洋風建築群がある。現在では博物館のようになっており、移築されたもののように見えるが往時そのままの邸宅群だ。






東山手の洋館群






南山手より東山手方面を望む 右:旧長崎地方裁判所長官舎(グラバー園内)



旧グラバー邸(グラバー園内)


 
大浦天主堂

 南山手へは谷間を隔てて斜行エレベーターで快適に移動することが出来る。観光客のためだけではなく地元住民にも利用されており、途中の斜面上住宅地にも乗車口が設けられているのが趣深い。有名なグラバー園を中心とした南山手地区からは長崎港の眺めが抜群で、その美しい庭園は市内最大の観光地区となっている。
 やや観光色に傾きすぎのきらいがあるものの、長崎を訪ねるにあたっては外せないエリアである。


訪問日:2010.08.14 TOP 町並INDEX