長門深川の郷愁風景

山口県長門市<商業都市> 地図
町並度 3 非俗化度 8  −長門地方の交通の要衝 港に接し商業が栄えた−




東深川の町並 木造三階建の旅館は現役だ
 

 
 長門市は日本海に面し、海産物に恵まれまた青海島など観光資源もあって外来客の訪れも多い。
 中心部はもと深川といい、律令制下には深川郷、中世には深川荘と呼ばれる荘園が存在していたという歴史の古い地名である。江戸時代に入ると鯨などの漁獲が増え、それを糧に町が発達している。深川村はそれらの漁村群に接していたが、主に在郷商業街として栄えており、中心部の正明市を中心に商家が建ち並んだ。その軒数は当時既に200軒に及んでいたという。古代の山陰道の支道がここを経由して山陽道の厚狭に達していたとされ、藩政期にもここが街路の追分となり物流の結節点にもなったのだろう。
 古い町並の余り残っていない現在の長門市街地にあって、この深川地区の一部に薄いものではあるが歴史の名残が見られる。市役所西側の道路の一本西側、山陰本線の踏切を跨ぐ辺りから散在的に古い建物が残る。最も印象的なのが木造三階建の旅館建築で、厳かな構えのまま現在も営業を続けている。そこから北に向け、町家型建築や古びた商店などがあり、その北・西側は漁港に突当る。
 古い町並というほどのまとまりは既に失われつつあるかに見えるが、それらの存在が地味ながらも商業の中心であったことを物語るものとなっている。 
 







訪問日:2014.11.03 TOP 町並INDEX