長門古市の郷愁風景

山口県日置町<在郷町・街道集落> 地図 <長門市>
 
町並度 4 非俗化度 8  −近世初期の市場に由来する町並−






古市の町並


 
古市付近は日本海に近い場所にありながら、海側には山塊が立ちはだかり海は直接見えない。比較的平坦な盆地上の土地が広がり穀倉地帯となっており、そうした一角に古市の町並が展開する。
 名の示す通り古くからの市場町であり、慶長15年の検地帳によると市屋敷19軒の記録が残る。大津郡西部の商業中心地であり、晩秋には3日間に渡って市が開かれ近隣諸村からの買出し人で賑わいを極めたという。ここには萩と赤間関(下関)を結ぶ北浦街道が通り、一時は宿駅機能も付加されていたことから人々の往き来も頻繁だったのだろう。特に盛んに取引されたのは農具だそうで、それは周辺に豊かな農村地帯が控えていたことを示している。古市という地名は江戸初期の一時期、街道が付け替えられて市場町もそちらに移行した際名付けられたものであるが、それほど間を置かずもとの位置に戻されている。
 街道集落らしい一本道に沿う町並で、平入り形式の町家が所々に残り、それらは商家だったのだろう。一部には広い敷地を持つ邸宅もあり、奥に控えた位置に洋風の外観を持つ離室なども見られる姿も印象的であった。明治以降も長らく賑い繁栄していたことを表している。
 

 








 

訪問日:2009.06.28 TOP 町並INDEX