山口県阿武町【港町・漁村】 地図 町並度 6 非俗化度 10 −商家町と漁村の二つの顔を持つ町− |
奈古は萩市街の北東約15kmに位置する日本海に面した集落である。阿武町の中心をなしており、海岸に接する平地に市街地が展開している。商家の家並と漁師町らしい路地の双方が見られる町並であった。 | |
奈古の町並 | |
江戸初期の元和期までは萩藩領であったがその後は廃藩置県まで一貫して徳山藩領であった。しかし城下町萩との結びつきは強く、阿武地域を代表する港として萩とを往来する船も多かった。この付近では江戸期には陸路より海路の方が重宝されていたようである。物資輸送に至ってはなおのことであったろう。 寛保2(1742)の記録によると百姓1200余、浦方400余と農民の方が多いが村の主な産業は漁業であり、大型漁船20艘を有し春は鰯や鰆、秋から初冬にかけては鰤漁が中心となって村の経済を支えていた。また塩浜と呼ばれる塩田もあり製塩も行われていたという。 石見とを結ぶ石州街道が通過し、港と接するところであり町場としても栄えていたようだ。奈古の市とも呼ばれ萩との往来による港町として商業も多数立地していたようだ。 もと商家の町家風の建物が残るのは国道より海側に外れた一本道沿いで、それらは袖壁や虫籠窓などの畿内を中心とした地域の町家と同様の意匠が見られ、一部にはかなり裕福な商人だったらしく間口の広く敷地の広いものもある。土蔵を持つ造り酒屋もありここが古くからの町の中心であることは一見してわかる。 ここのもう一つの魅力は路地風景だ。先の商家の見られる街路から多くの路地が派生しており、また更に枝分れし小路か私道か判然としないところもある。これらは漁師町・漁村としての部分であろう。迷い歩いて又商家の残る界隈に出てきたりするのも面白い。 |
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海側には漁村らしい路地も多く残る |
訪問日:2009.06.18 | TOP | 町並INDEX |
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