中甑の郷愁風景

鹿児島県上甑村 【漁村】 地図 <薩摩川内市>
町並度 4 非俗化度 10 −上甑島の主要な集落のひとつ−




 中甑地区は東シナ海上に上甑・中甑・下甑島と連なる甑島列島のうち上甑島の西部、中甑湾に面し中心集落が開ける。区域の北には砂洲地形として知られる長目の浜がある。
 江戸時代当地域は甑島郷に属し、中甑は地頭政治の中心でもあった。中甑湾に面しては遠見番所が置かれ沿岸警備が行われた。主な産業は漁業であったが、中甑島の平良とともに貿易の拠点となっていた。貿易と云っても密貿易が主体で、海産物などを南西諸島経由で東南アジア方面に販売するものであった。集落外れの海鼠池は良質のナマコが獲れることから命名されたといわれ藩にも献上されたが、貿易品としても貴重なものであった。ナマコをはじめとした品々は全国各地から集められていたという。
 漁業としては『三国名所図会』では鰹が名品として挙げられ、他の産業として絹や麻などの織物も盛んだったという。
 集落は港付近に小さく固まっているのみであるが、歩いた印象としては数軒豪壮な建物が見られたのが特徴に感じられた。塀に囲われ、入母屋の屋根を従えている。漁業で儲けた旧家かというところだが、聞くところによると高利貸しを営んでいたお宅なのだという。この島の集落でも財を築く基盤があったのだろう。
 また一部には石垣を積み上げた中に屋敷を構え、外城集落を思わせる佇まいも見られた。
 
 




 


 


 
石垣や生垣に縁取られた路地風景も見られる中甑の町並  


 


 
厳かで大柄な屋敷型邸宅も見られる  

  
訪問日:2020.01.04 TOP 町並INDEX