仁方の郷愁風景

広島県呉市<商業町> 地図
 
町並度 3 非俗化度 10  −酒・醤油蔵が趣を醸す小さな町並−


造り酒屋付近の町並



まだまだ伝統的な建造物も残っています。★
(左側の土蔵は現在取壊されています)

町並

造り酒屋の裏手の川沿いの風景です。★
(現在取壊されています)
この路地は辛うじて残っていました。
★印は2002年2月、その他は2005年1月撮影の画像です。

 


 呉市の最東端に位置する仁方地区は、釣りの拠点として遊漁船が発着し、釣客で賑わう。中世は新潟村、仁賀田村などと呼ばれていて、戦国期は小早川氏の一族乃美氏の知行地であった。古名の「潟」が示すようにここは低湿地帯だったようで、その地形を生かして塩田が盛んだった。その他商品作物として櫨の実、網などがあり、塩田の手前には港があって能地浦(現三原市)からの出稼ぎ漁民の船なども繋留され、また廻船業に従事するものもあったようだ。
 現在の仁方駅の南側の平坦地はもと塩田であったところを干拓したものと思われ、古い町の中心はその北側、国道185号線を挟んだ反対側である。造業・醤油醸造業も立地し、数軒の造り酒屋が今でも古い構えを保っている。
 旧市街は離合も容易ならぬ狭い路地が巡り、その一角に立派なナマコ壁の装飾を施した蔵元の佇まいがある。この周辺は古い町並と言える雰囲気を僅かに持っていた。しかしここ数年で造り酒屋の土蔵など幾つかの建物が取壊されて、徐々に歴史性が感じられない、呉市近郊の平凡な町の姿に変化しつつある。


訪問日:2002.02.26
(2005.01再取材)
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