新野の郷愁風景

長野県阿南町【在郷町・街道町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 10  −三河や遠江の影響を受けつつ発達した町−



 阿南町は下伊那郡の南部、天竜川の本流から西に外れた高原地帯にある。町域南部の新野地区はこの地域としては珍しく、比較的広い平地を持ち交通の要衝、物流の中心として古い歴史がある。








 
 

 西は売木村、東から南は天竜川流域にあたる天龍村に接し、それらとを結ぶ東西の国道、町域を縦断する県道がここで交わっている。
 信州でもこの付近まで南下すると北・東信地方や松本周辺よりも遠州や三河の方がはるかに近く、さらには街道を通じて上方の文化をも伝播させ、風土習慣もそれらの地に類似したものが多い。縦断する道路はもと遠州街道と呼ばれていた。別名まつり街道と呼ばれているのは上方文化を反映した独自の祭りが発達したからで、祭り文化・伝統芸能の吹き溜まりともいわれるこの新野地区には今でも連綿と続けられている祭事が多く残る。殊に雪祭りは国の重要無形文化財に指定されている。
 新野周辺の貴重な平野部は千石平と呼ばれ、それは街道の十字路として物資が集まりやすい土地であったことを象徴している。伊那地方一帯で盛んに行われた中馬制度もあり、商業が発達した。一大在郷町として、また街道の要衝として下伊那郡南部における中心集落のひとつであった。
 現在でも町のあちこちに伝統的商家風建築が残り、その含有率は高くはないものの古い町であることは歴然と判る町並が続く。旅館の看板や表示のある建物も少なからず眼につき、営業されていないものも多いのだろうが古い街道集落らしさを感じさせた。
 5kmほども南下すると愛知県東三河地方が迫る位置にあり、三河や遠江の影響を強く受けてきた土地であっただろうことが家並を見ると感じられる。
 
 


訪問日:2011.07.18 TOP 町並INDEX