西新井大師門前の郷愁風景

東京都足立区【門前町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 3  −小さく凝縮された門前街−





 足立区西新井にある総持寺は通称西新井大師と呼ばれ、毎年正月には多数の参拝客でにぎわうところである。参拝専用のような東武鉄道の支線の駅は、ホームの幅が非常に広く、混雑時に対応したものとなっている。




西新井大師門前の風景 伝統的な構えの土産物屋や講札を掲げた建物が見られる
 
 
 
826(天長3)年、巡礼中の空海が立ち寄って祈祷を行った際、お堂の西側にあった枯れ井戸から水が湧き出たという説によるものだ。この清らかな水は病を瞬く間に治したほどの霊験あらたかなものであり、ここから西新井大師は厄よけ・開運に利益があるとされている。その信仰は現在まで脈々と受け継がれ、現在の幸せを引き続き願う人や、現況からの脱却を望む人の参詣が絶えることがない。[1]

 関東三大大師の一つとして、その構えも大きくまた門前町も形成している。鰻の蒲焼や煎餅などを売る店が、一部伝統的な構えを残しながら営業されている。その規模は大きくないが、都市圏内にあってこのような場は貴重なものであり、伝統を守りついでいただきたいものだ。
 その外郭にはやや古びた商店街が展開し、パラペットを立ち上げた看板建築や昔ながらの手書き看板を掲げた老舗などが風情を出している。西新井大師を中心に発達したこれらの町並は都市化の波に飲まれそうになりながらも、頑なに伝統を守り続けているようで、そんな姿に健気さを覚えながらの探訪だった。 

 




門前街の南側にもやや古びた商店街が展開する

[1]http://itot2.jp/umejima/37
訪問日:2013.12.22 TOP 町並INDEX