西条の郷愁風景

長野県本城村<街道集落> 地図 <筑北村>
 町並度 4 非俗化度 8  −坂道に展開する旧善光寺街道沿いの町並−











西条の町並
 松本盆地と長野盆地を隔てる高原地帯は南西から北東へ30kmにわたり、比較的平坦な標高600〜800mの小盆地が連続している。それらを縫うように篠ノ井線が通り、また長野自動車道が貫通している。
 長野盆地は善光寺平とも呼ばれるように古くから善光寺への集客力が高く、各地から街道が発達していた。ここを通っていた北国西脇往還は善光寺街道とも呼ばれ、中山道の洗馬宿から分岐し篠ノ井で北国街道に達していた。本城村内には正式な宿場はなかったが、間の宿として乱橋・西条があり、ここでは西条の街道町を紹介する。
 この街道は要人の通行や山海の物資交換による輸送などでも大いに賑わったが、西国方面から善光寺に参る客がここで一本に収斂の末善光寺平に向かい、また東国からは伊勢参りに向う客も多かった。そのような信仰の客が多く通過したことも特筆される。傾斜地が多く降水量も少ない土地柄のこと、稲作には不向きな土地で煙草などの畑作物、山間部での炭焼などが行われていた程度で主だった地場産業が乏しい中、街道の通行が経済的基礎だったのだろう。
 北約2kmのところに青柳宿があり、旧街道沿を南下すると信濃川水系の支流東条川に沿い、西條大橋と刻まれたやや古びた橋を渡ると徐々に旧態を帯びた家並が現れてくる。緩やかな坂道となり所々に平入りの町家建築が散見される。連続性は高いものではないが遠方に山岳地帯を望み、爽やかな街道歩きを味わうことができる。
 両側に伝統的な建物が残ることから、善光寺街道時代には既にこの道幅が確保されていたことがわかる。脇街道の間の宿としては広く、多くの旅人で賑わっていた当時がしのばれる。
 
 
 


訪問日:2012.01.03 TOP 町並INDEX