日坂の郷愁風景

静岡県掛川市 <宿場町> 地図 
 
町並度  4 非俗化度 6  −円弧上の街道沿いに旅籠の建物が散見される−



 
旧旅籠の屋号川坂屋 内部が無料で公開されている 


 掛川市日坂は市域の東部、東海道の宿場町として東の金谷宿へ1里24町、西の掛川宿へ1里29町の位置にあった。すぐ東側に小夜の中山と呼ばれた峠道があり、標高は300m弱と低いものであるが山賊なども横行する難所であった。平地を淡々と辿る印象のある遠州路の東海道の中でも異質な区間といえよう。
 地形の影響か円弧状の街路形態の中に東から上町・下町・古宮町と整備され、本陣・脇本陣各1と33軒の旅籠屋を有した。難所大井川を控え、ここに宿を取り良い日和を待つ客も多かったという。
 家々の間に空き地が目立ち、古い町並の連続性という点では少々物足りない。しかし残る建物は旅籠時代に遡るものもあるようだ。嘉永5(1852)年の大火で宿場の大半が焼失しており、それ以後に建てられたものであろう。
 一部は公開され内部が見学できる。その中で屋号川坂屋は訪ねた時ガイドが在館し、無料で案内してもらえた。奥には床の間付きの上段の間があり、細部の意匠にもこだわりが感じられ、旅籠とはいえ脇本陣にも近い格の宿屋であったと思われる。明治以降も要人に宿を提供していたといわれ、襖には維新政府の高官らの書が残されていた。
 町並を歩いていると他にも自由に出入りでき、座敷や二階部の見学も可能になっている建物があった。川坂屋と共通で管理しているものと思われるが、少し珍しい光景であった。








 

訪問日:2019.11.03 TOP 町並INDEX