下阿井の郷愁風景

島根県仁多町【商業町】 地図 〈奥出雲町〉
町並度 5 非俗化度 10  小規模ながら連続性の高い町並風景が残る




 下阿井地区は県東部の山あい、阿井川沿いの平地に集落が開けている。これより南は峠道となり大貫峠を越え備後に至る。
下阿井の町並


 備後と出雲を結ぶ街道沿いにあり、近世初期にはこの集落が形成されていたといわれるが、特に宿駅や旅籠等が設けられていたという記録はない。周囲は良質の砂鉄を算出する鉄山に恵まれ、この地域の産業の根幹であった。この集落から少し南に下った場所にある櫻井家は松江藩に仕え製鉄業を営み、同時に周囲の開拓に勤しみ大水田地主となった一大名家であった。
 江戸初期に行われた検地によると、既に屋敷数50余を数え、目代や町役人も置かれひとつの独立した町場を形成していた。
 国道の東側に町の中心街が残されたため往時の雰囲気が濃厚に残る町並である。町の規模は小さいが、切妻平入りの古びた家々が軒を接して連続性高く連なる姿は、古い町並として迫力を感じさせる。多くは1階部分がアルミサッシながら開放的な作りとなっていることから、多くは商店であったことがわかる。それだけこの山間の小さな集落が賑わっていたとは現在の姿からは俄かには想像し難い。
 
 
 
 

 



これも造り酒屋の土蔵などが見られる一角










訪問日:2013.10.14 TOP 町並INDEX