丹生川の郷愁風景

岐阜県丹生川村【農村集落】 地図 <高山市>
町並度 4 非俗化度 7 −重文荒川家を中心に豪農宅が散在する−

 高山から北アルプスを貫いて松本に達する国道158号。奥飛騨温泉郷、乗鞍や上高地などの山岳観光地群にもつながっているため観光客の通過が多く、観光バスも頻繁に通行する。沿道には大きな土産物屋も見られる。
 高山市街地から東へ10km余り、盆地が尽き、次第に山間部に入っていく辺りに重要文化財に指定された建物がある。元禄期以来代々庄屋をつとめた荒川家住宅で、その間口の広さには驚かされる。
 この丹生川地区は乗鞍方面から流れ下る小八賀川の浅い谷が広がり、耕地が展開している。高山の近傍に位置することから役人・町人からの需要も多く、山村では御用炭を産出していたほか、飛騨で最も盛んといわれた養蚕は蚕種・蚕糸として東北や北陸、畿内へと赴き販売された。
 そのような豊かな農産業により、家々は裕福だったのだろう。荒川家以外にも大柄な農家建築が散見される。それらは切妻平入りでせがい造り、広い間口、トタン屋根といったところが共通しており、町並的な連なりはないものの1棟のみでも見応えのあるものであった。


重文・荒川家住宅と土蔵




大柄な農家建築が散在している(大谷・北方・法力地区)




中心集落に近い田中家住宅




訪問日:2018.08.12 TOP 町並INDEX