野尻の郷愁風景

長野県大桑村<宿場町> 地図 
 
町並度 6 非俗化度 7 −地形に従って変化の多い中山道宿場町−


   




 大桑村内には旧中山道時代の宿駅が2ヶ所設置されており、ここでは南側の旧野尻宿を紹介する。木曽路の中では奈良井とならび非常に賑わっていた町場であった。
 野尻の町並 左は旅館庭田屋とある




 








 

 
 野尻宿は北の須原宿より1里余り、南の三留野宿より二里余りの位置にあり、木曽川の左岸段丘上に展開している。段丘下には中央本線が走り駅が設置され、探訪にも便利である。
 宿場町でありながら比較的街道幅が狭く、乗用車の離合が困難な箇所が随所にある。主要街道の宿場町としては異例の狭さだ。そして、地形に従って何度もカーブや曲折があるのも特徴だ。そのため七曲りとも称されている。これは外敵から町を守るための工夫でもあった。しかし、それが探訪する身にとっては町並展開の複雑さ面白さを演出しており、中山道の街道沿いでは、閉鎖的な町並空間が見られる貴重なところだ。
 藩政時代には本陣脇本陣各1、旅籠19を擁しており、25匹の馬が常備され商人や旅人の荷送りを行っていた。大名行列などの大通行時には三留野・妻籠・馬籠とあわせた木曽路下四宿合同の助郷制度がとられ、周辺の山村から人夫が徴用された。
 南部ほど伝統的な建物が連続した風景が見られ、その南端ではその名も「はずれ」という屋号で呼ばれた旅籠建築が、しかしながら趣ある構えを残している。一部では平入り・せがい造りの旧家が連続した古風な家並が見られ、古い町並として探訪の価値がある。
 町並の中心にある屋号庭田屋の建物は、現在営業されていない様子だったのが残念であったが、今にも旅人が旅装を解く姿が見て取れるようであった。
 


訪問日:2011.07.18 TOP 町並INDEX