野々市の郷愁風景

石川県野々市町【商業町・宿場町】 地図
 
町並度 6 非俗化度 7  −金沢城下の前衛的位置にある北国街道沿いの町−





 野々市は金沢市の西に接する町で、独立した町というよりは金沢市街地の延長のようなところである。しかしかつては北国街道の金沢城下から1番目の宿駅として位置づけられ、それを基盤に発達したところである。
野々市の町並 左は喜多家(重文)


 北陸本線・北陸鉄道の各線と、町域を縦横断する国道など交通面では便利な土地で、金沢の中心地区までも5kmと離れていない位置にある。
 中世には富樫氏の領するところであったが、江戸期は加賀前田藩領として幕末を迎えている。北国街道の宿場町ではあったが、参勤交代時に利用するのは大聖寺藩のみで、金沢城下に近すぎることもあって宿駅としての賑わいはそれほどではなかった。金沢の前衛の商家町・在郷町としての発達が旧北国街道沿いに見られた、という方が実態に即しているといってよいかもしれない。
 町の中心の本町界隈、旧北国街道沿いに伝統的な建物が多く見られる。平入りで間口が広く、がっしりとした商家建築である。袖壁、格子戸などが程度よく残り、漆喰に塗りまわされた土蔵などとともに古い町並を形成している。
 代表的な旧家が国の重要文化財ともなっている喜多家で、明治24年の大火で被害を受けた当家は、大胆にも金沢の商家の建物を買い取り、ここにそっくり移築したのだそうである。それが逆に市街地では残存していない古い金沢の商家の造りが保存される結果となりそれが評価されたのだろう。一般公開もされていて見学も可能である。
 この他にも、数百メートルという短い間ながら、見応えのする商家群を見ることが出来る。また街道沿い以外はかつて農村地帯だったこの付近、手取川の扇状地にあって水が得にくく、町域の縦横を野々市用水と呼ばれる農業用水をめぐらせていた。喜多家の裏庭には今でも用水が貫通している。
 















訪問日:2015.06.13 TOP 町並INDEX