能登部の郷愁風景

石川県中能登町<街道集落・産業町> 地図 
 
町並度 6 非俗化度 9 −七尾街道西往来沿いの街道集落−
 









能登部の町並


 能登半島は、地勢的には北部の奥能登地域に山地・丘陵が広がり、基部に近いあたりに宝達丘陵が南北に走っており富山県との境をなしている。その中間は東西に平野部が貫く地溝帯で、穀倉地帯となっている。
 現在は国道159号線と七尾線が主要な交通路となっているが、かつては能登街道により七尾そして奥能登と往来していた。能登街道は広義の呼び名で、七尾より南は七尾街道といわれ、それも地溝帯の北西側と南東側二本の道筋があった。それぞれ西往来・東往来と呼ばれていた。
 この能登部地区は西往来沿いに発達した集落で、宿駅機能は持たなかったものの1km以上にわたって長々と家並が連なり、また伝統的な建物の比率が高い。同じく西往来沿いで、北に隣接する位置にある良川地区などと同じく、妻壁に梁組を表した真壁を持つ妻入りの建物が目立つ。古くから能登部上・能登部下村に分立していたが、古い町並としては主に旧下村の区域に展開していた。
 七尾への街道として加賀藩から正式に認められていたのは東往来だったが、西往来の方が距離が短く旅人はこちらを利用することが多かったという。幕末近くになって交通量の増加から西往来も街道として認められて以降は、藩の役人などもこちらを通行することが多くなっていった。
 能登部の町が発達したのは街道の往来だけでなく、能登上布と呼ばれる生地生産が古くから行われてきたことも大きく、織物産業の町として知られていた。立上りの高い妻入りの旧家は、その恩恵も受けてきたのかもしれない。
 
※文章内容は一部「良川・西馬場の郷愁風景」と共通

訪問日:2013.05.04 TOP 町並INDEX