福浦の郷愁風景

石川県富来町【漁村・港町】 地図 <志賀町>
 町並度 4 非俗化度 8 −北前船の寄港が盛んで遊興地だった町−

   

 能登半島の主要な観光地の一つ、巌門の南に接して福浦の集落が展開している。ここから観光船が発着し、大型バスが乗り入れるものの、家並の姿は素朴さ溢れるものだった。
 古くは福良津と呼ばれ、江戸期には西廻り航路を利用した北前船が多く立ち寄った。半島の西岸では数少ない入江で、季節風を避けて停泊できる港を持っていたからであるが、この集落では自ら廻船業を営むよりは、船乗りを受入れることで栄えたといえる。慶長13年にはわが国で最古の灯台も設置されている。
 船宿や遊郭が発達し、遊女に関するさまざまな逸話も残っている。漁業に従事する者は少なく、稼ぎは回船宿・磯漁・渡海船業・舟水主などであった。
 明治に入ってからも金石(現金沢市)、七尾港方面から小回り船による荷揚も多く、町は賑わったが、平地のほとんどない地形が災いしてその後大きく発達することはなかった。
 船乗りたちの遊興の地であった面影は家並に求めることは困難だ。但し入江に沿った円弧状の地形に沿って裕福だっただろう頃の名残を残す家々が連なっており、奥まったところには寺院が堂々たる屋根を構えている。伝統的な建物は改装されながらも一階部分が開放的なつくりとなっており、多くは商いをされていたであろうことが想像できる。
 入江の奥の谷間に向っても家々の連なりがあり、繁栄していた当時を偲ばせていた。
 
 



福浦の町並 入江に沿い円弧状に家並が展開する  









訪問日:2013.05.03 TOP 町並INDEX