松波の郷愁風景

石川県内浦町【在郷町】 地図 <能登町>
 
町並度 5 非俗化度 8 −松波川河口に開けた在郷町 中世には城も存在した−














 松波地区は能登半島北東部の富山湾側に開ける。浜沿いの美しい風光を想起させるその地名は実際波打際に松林があったことに由来するという。
 中世には松波城が存在しており戦略的拠点であったが、江戸期以降は若干の漁業も発達していたものの、概ね在郷商業町として経過した。この付近は平地が少なく山がちの地形が続く中で、松波川の河口に比較的平地が開けていることで、周囲の物資が集まりやすいということもあったのだろう。
 諸村を管理する十村役をはじめ塩相見役などの役人が置かれ、収納蔵や塩蔵もあった。定期的に市が立っていたという記録もある。
 戦後暫くまで独立した町だったこともあってか、小規模ながらも市街地が形成され人々の姿も多く眼についた。江戸期まで遡るものではないが伝統的な建物があちこちに見られ、老舗の造り酒屋もある。古くからの町並であることは予備知識を持たずとも疑いのない風景である。
 この付近から半島先端にかけての海岸線はなだらかで、海水浴場などもあり内浦らしい穏やかな姿を見せる。


訪問日:2013.05.02 TOP 町並INDEX