能登中島の郷愁風景

石川県中島町【商業町・港町】 地図 <七尾市>
 
町並度 6 非俗化度 9−波静かな内湾に抱かれ商業が発達した−








中島の町並


 中島町は能登半島の中部で七尾湾に面している。外浦と呼ばれる日本海に直面している地域とは異なり、日本海側にありながら穏やかな海だ。
 加えて河口部にあり比較的平地に恵まれていることから、江戸時代より新田開発が行われ、能登半島随一の穀倉地帯となった。現在町の中心は海岸部からやや内陸に入った場所に展開しているが、これは代々の干拓や埋立てにより海岸線が遠ざかったことによるという。
 後背地に恵まれ、また奥能登各地とを中継する位置にあることもあって商業が発達し町は大いに賑わった。加賀藩の収納蔵も置かれ、周囲の農漁村からの産物が集積され、船便で積出された。その品々は木材や木炭、穀物などであり、富山や七尾と頻繁に往来していた。明治に入ると七尾との間に汽船が就航し、交通・物流の要所として更なる発展を見た。その後鉄道開通により衰微するまでこの町の隆盛期が続いた。
 旧市街は重厚な商家の名残が見られる。能登半島の家並は妻入り形式が一定の割合で見られるが、ここではほぼ全戸が切妻の平入り形式で、都市型の面立ちだ。一階部分が開放的となっており商家出身であることがわかる。袖壁を有するものも多く、典型的な商業町を見る思いだった。
 但しその多くは商いを止められていて、家並は過去の栄光でしかない。家々の造りが立派であるだけに少々わびしさを感じる訪問であった。
 
 









訪問日:2013.05.03 TOP 町並INDEX