能登小木の郷愁風景

石川県内浦町<漁村> 地図 <能登町>
 町並度 5 非俗化度 8 -美しい湾に囲まれた能登随一の漁港−
 





 小木は奥能登地方の富山湾側、通称内浦と呼ばれる地域で、その中でも入り組んだ湾奥にあり波静かな港を持つ。湾内に多数の小島を従えた九十九島の名所もこの地区にある。
 古くからの生粋の漁村集落であり、現在も近海・遠洋漁業の基地として能登随一の漁獲高を誇る。訪ねたとき、その勢いを象徴する催しが行われており、湾内は巨大な大漁旗を掲げた漁船が多数巡回していた。伴旗祭りと呼ばれるもので、諸船の海上安全を祈願する祭で5月初旬にとり行われる。
 
 小木の町並




 一部には塀を巡らせた大規模な邸宅も見られる








 
 
 祭事で賑わう港から一歩足を踏み入れると、嘘のような静かな町並が展開していた。漁村集落には不似合いな間口の広い町家風の建築、一部には広大な中庭を持つ旧家もある。端正な格子が残されている家もあった。
 漁業のみならず廻船業を営む者もあったというから、それで富を得た家もあるのだろう。また石切業も盛んで、小木石の名で越中方面に売り出されていたという。明治以降も村役場をはじめ税関監視所が設置されるなど地域行政の中心として機能していた。
 伝統的な町並が展開するのは狭い範囲ではあるが、その質は高いものがある。伝統行事同様、この町家群も意識していただきたいものである。
 
 

訪問日:2003.05.02 TOP 町並INDEX