高松の郷愁風景

石川県高松町<宿場町・漁村> 地図  <かほく市>
 町並度 5 非俗化度 8 −能登・加賀の境に位置した能登街道の宿駅−





 



 
旧能登街道沿いの町並


 日本海に面し、能登半島の基部にあたる位置にある高松の町。海岸部は低平で砂丘地帯となっており、内陸部に向けて緩やかな丘陵が展開している。
 古くからの町の中心は国道や七尾線の駅付近ではなく海岸に近い砂丘の内側で、かつては能登街道沿いの宿駅が置かれていた。駅馬40頭が置かれ、能登の入口としての賑わいがあった。実際ここは能登と加賀の境界に位置しており、羽咋郡と河北郡にまたがっており行政支配も異なっていた。
 産業としては漁業、また瓦の生産があり、漁業はハマグリなどの沿岸部での採取漁業が主ながら主要な産業であった。農業は砂地のため稲作は出来ず、また砂丘が拡大移動するためなかなか定着しなかったようだ。集落自体も砂丘の影響で江戸期の内に三度移動している。
 瓦は能登瓦として江戸後期から生産が盛んになり、明治に入って一度衰退したが末期以降再度需要が増えた。現在も独特の黒光りする瓦で統一されており、能登地方の家並風景の特色となっている。
 旧街道沿いの特徴として街路幅が広いことがまず挙げられる。中央に水路があるからで、現在も埋設されているがその部分に中央分離帯的なものがあるため開放的な雰囲気を感じる佇まいとなっている。家々は明治以前に遡る古いものは少ないようだが街道町らしく整然と家々が並び、小さな袖壁を持つもの、海風対策のためか板張りの壁面を持つものなどが目立ち、一階部分には格子が綺麗に残された旧家も複数見られた。



 街道集落のみならず、産業を基盤に面的な町並の広がりがあり、山手方向に向う幾筋かの小路にも所々古い構えの家屋が見られ、古い町並を残していた。






街道から外れた枝道の町並
 

訪問日:2023.07.17 TOP 町並INDEX