鵜川の郷愁風景

石川県能都町<在郷町・漁村> 地図
 
町並度 4 非俗化度 8 −漁業よりも在郷商業町的に発達した町−

       




 鵜川地区は能登半島の北部、富山湾に沿い狭い平地が開けている。かつては国鉄能登線が金沢とを結んでいて駅が設けられていたが廃線となり、静かなたたずまいが展開していた。





 同じ富山湾沿いでも穴水付近との間には山がちの地形が海に張り出しており、古くは陸路での交流は希薄であったと考えられる。
 江戸時代には既に町場が築かれていたとされ、当時の記録には200軒の家数があり、商家や漁師が住まうところであったことが記述されている。眼前の海域は漁場として適しており、釣漁や定置網などでの漁獲もあったというが、むしろ往来の要衝にあって在郷町的な賑わいを示していたようだ。
 それは町並を歩くと納得できる。家々の風情は漁師町のそれではなく、切妻平入の町家が主体の商業町的なたたずまいであった。伝統的な建物が連続する箇所は多くはないが、木質感が高く袖壁をしつらえた町家が方々に見られ、それらは小規模ながら商家だったのだろう。現役の造り酒屋も見られた。
 観光客の訪れもない静かな町で、素朴な中にも繁華な時代の名残を感じさせる奥能登の町だ。
 





訪問日:2013.05.02 TOP 町並INDEX