西浦古宇の郷愁風景

静岡県沼津市【農村集落・漁村】 地図
町並度 4 非俗化度 10 −富士山を対岸に臨む半農半漁の集落−
 




土蔵が印象的な西浦古宇の町並


 沼津市は東海道本線などが通る市街地側とは別に、内浦湾を挟んで伊豆半島側にも市域を持つ。この半島北岸地域は山地が海に迫り優れた景観を有しており、対岸には富士山を望むことができる。
 西浦地区は内浦地区と同様、入江ごとに集落が点在しており、一部では観光施設も見られるが、多くは中小漁村集落である。その中で古宇集落を訪ねた。
 小湾奥の狭い平地に集落が展開し、ここから5kmほど海岸沿いを走れば半島北西端の大瀬崎に至るが、やや険路のためここから山越えで戸田村に抜ける道も分岐している。
 寛政9(1724)年の「村差出帳」では、人数213、馬20、牛2、船9艘を有していたとある。半農半漁の集落だったようで、製塩も行われていたようだ。また記録では特産に蜜柑があったとあるが漁業は盛んに行われていなかったようである。
 家並は海岸に沿ってではなく古宇川沿いの平地に内陸に向け伸びており、これも農村的である。主に左岸に展開する集落は伊豆石の蔵があちこちに見られ、この点が一番の特徴といえるだろう。下部は伊豆石で、上半分は海鼠壁に覆われた一見二階建てに見える蔵もある。また一部には商家を思わせる家屋も見られた。
 路地に蔵が対面し、その向うに火の見櫓の見える風景は絵になるものであった。









訪問日:2022.04.10 TOP 町並INDEX