舟見の郷愁風景

  富山県入善町<宿場町> 地図
 町並度 5 非俗化度 8  −北陸街道上街道(舟見往来)の宿駅−





舟見の町並
 

 
入善町舟見地区は入善・黒部の町の中心とを結んだ正三角形の右下付近にあたる。日本海を航行する船が見えるところというのが地名の由来とされ、海岸からは10km程度離れてはいるが緩やかな傾斜のまま海に達するような地形のため、かつては実際目にすることが出来ていたかもしれない。
 かつては黒部川右岸の扇状地であり、その後は舟見野と呼ばれる台地となった。17世紀半ばの明暦年間頃に開墾され、舟見村が村立てされた。ここは北陸街道の内、上街道と呼ばれた舟見往来の宿駅が設けられたところである。黒部川は急流として知られるように渡河が困難となることが多く、対岸の浦山とともに川止め時の宿となった。正徳4(1714)年には本陣も置かれ、大名行列などの重要な通行にも対応していた。
 江戸期を通じて加賀藩領で、この舟見野と呼ばれる地域は旱損所と呼ばれ水が得られにくい荒地だったが、寛政10(1798)年に用水が引かれ、耕作地が増加した。北陸街道沿いを中心に村が拡大し、享保18(1732)年の戸数は112であったが、明治6年は250、同18年には330戸となった。
 入善や朝日町から宇奈月温泉方面へ向う道を進んでいくと、両側に街道集落らしい家並の連なりが現れる。左手に本陣跡の案内看板がある辺りが中心で、妻入りの建物が比較的密度濃く建ち並ぶ町並が展開していた。建物は宿場町時代までに遡るものはないようだが、二階妻部の真壁、黒瓦が特徴で土蔵を従えたものもある。下町・中町・上町と1kmほども続き、思いの外規模の大きな町並という印象だ。
 北陸街道沿いの町並としては、県内では良く残っている方といえるだろう。








  
訪問日:2023.07.16 TOP 町並INDEX