帯解寺門前の郷愁風景

奈良市今市町他【門前町・街道集落】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 6  −安産祈願の寺として多くの客が訪れる−


 桜井線に帯解という駅があり、その一風変わった駅名は印象度の高いものである。奈良市域の南端にあるこの地域は駅名ともなった帯解寺を中心とした町並が展開している。

訪ねる人が絶えない帯解寺


 いわれによると、文徳天皇の皇后染殿がこの寺の地蔵尊に祈願したことにより懐妊し、後の清和天皇となる子を安産で授かったという。それを機に帯解寺と呼ばれるようになり安産祈願の拠り所となった。9世紀の頃のことであるから千年以上もこの寺は安産を願う女性たちによって信仰されてきた。その伝説から皇族方の安産祈願も代々行われてきたという寺である。
 帯解寺の門前を通る南北の道は尾根筋のような微高地に伸び、散在的ながら伝統的な建物が見受けられる。古い町並としてのまとまりにはやや淡いところであるが、門前に商店が建ち並んでいたであろう様子が想像できる。この付近は上街道と初瀬越の道が交わるところでもあり、伊勢参りの旅客も多く通ったことから茶屋なども多く、賑わっていたところという。帯解寺の純粋な門前町というよりは、それら街道の往来により繁栄した地区といえる。
町並としては旧家が散在する形で、その規模も大きくは無いが、帯解寺を訪れる人は多く私が訪ねた折にも境内には多くの女性や夫婦の姿があった。但し、祈願客はほとんどが乗用車で訪ね、かつての門前町の部分に足を踏み入れる人々の姿はなかった。
 









訪問日:2006.11.04 TOP 町並INDEX