鹿田の郷愁風景

岡山県落合町<宿場町> 地図 
町並度 4 非俗化度 10 −美作と備中を結ぶ街道上の町−






 
鹿田の家並は一本の街路に沿い展開する典型的な街道集落だ。


 落合町はかつて旭川水運の要衝として商業が栄えた所。現在中心街には残念ながら古い町並はほとんど残っていない。しかしここから南西へ伸びる備中への街道沿いにある鹿田には、街道集落らしい端然とした家並が今でも残る。
 鹿田と書いて「かつた」と読み、のどかな田園地帯に街村を展開している。国道の南側に街道が残されたため、家並は旧来の姿を比較的残している。道幅はそのまま国道としても差支えないほど広く、よく残ったものと思う。
 その広さはかつての宿駅を思わせる。幹線道ではなかったため本陣が存在したなどという記録はないが、この町並を歩いていると、賑やかだった頃の残照を感じる。多くでは入母屋の形式を取り、二階の立上りも高い。そしてその2階部分には木製の手摺が多く見られる。これは明治以降も繁華な町であったであろうことを物語っているようだ。家並は東西1km近くに渡って連なり、大きな町場であったことを偲ばせる。街道から外れた位置にも裕福な農家らしい大きな構えの屋敷が多く残っていた。
 但し、街道沿いの家々も歯が抜けたようにまばらになっている箇所が眼につき、空地や駐車場となっている風景が目立つ。町の中央に大きな木造洋風建築の旧郵便局の建物があったが、訪ねた時は周囲を足場で固めて修復工事中であった。風化させまいと努力されているその姿を応援したい。




海鼠壁と虫籠窓を持つ典型的な町家建築



木製の手摺の残る旧家も多く見られた。

訪問日:2005.09.19 TOP 町並INDEX