祖式の郷愁風景

島根県大田市【宿場町】 地図 
 町並度 4 非俗化度 10  −大森銀山と温泉津湊の間の宿場−








緩い坂道に沿い家並が連なる祖式集落の風景




 銀山で栄えた大森地区の南5kmほどにある大田市祖式地区。江戸時代は幕府領・大森代官所の支配地であり、石見銀山御囲村に指定されていた。元禄10(1697)年の記録では203軒の家屋、1200人余りの人口を有し既に町場が発達していた。
 祖式村は都治(現江津市)と大森を結ぶ大森道と、川本に向う街道との分岐点に位置し、小規模ながらも宿場町が形成されていたという。温泉津の港から銀が積出されていた時代はちょうど中間地点にもあたることから港に出る前にここで一晩宿を取るといったケースも多かったのだろう。
 集落周辺は小盆地状の地形で、家々は街道沿いに並び、周囲は水田地帯となっている。集落の中心に寺が複数並んでいるのが古くかつ重要な集落であることを証明しているようだ。街道はここで直角に折れ曲り、手前側から緩やかな坂道となっていることから寺が集落を見守っているような独特の景観となっている。曲った先の辺りでは比較的家並や土蔵の連なりがあり、古い町並らしい風情を感じることができる。
 上町という字名も残っているようで、地名からも宿場町らしさが感じられた。
 
寺(右上)に見守られるように展開する 



訪問日:2020.05.30 TOP 町並INDEX