尾立の郷愁風景

広島県倉橋町<農村集落> 地図 <呉市>
 町並度 4 非俗化度 10 −瀬戸内の島の農村−













海が見えなければ農村集落そのものの尾立の町並



 呉市街地の南に浮ぶ倉橋島は音戸大橋によって本土と陸続きとなっており、通勤客も多い。都市郊外の延長のような風景が続くが、南部の海岸線は比較的長閑で、海に突出した岬が小刻みに連続し、穏やかな海辺の集落がその間に展開する。ここで紹介する尾立もその一つである。
 瀬戸内地域では、海岸に位置するからといって漁村とは限らない。小さな港があり、船がつながれてはいるが、海岸線から離れると海に面した町であるとは思えない風景が広がっていた。
 家々は入母屋の屋根が多く眼につき、それだけでも漁村の姿ではない。塀に囲まれた屋敷型の民家も多く、小規模な家々は板壁が目立つ。道路に面して木造の倉庫風の建屋が多く見られるのは、おそらく農機具小屋であると思われた。
 ここは島の農村なのであろう。この付近は温暖で降雪も霜降も少なく、蜜柑をはじめ柑橘類の
栽培に適した土地である。本土では栽培に適さないため、この集落では目の前に広がる海で生計を立てるよりも、古くから農業が中心だったのであろう。
 とはいえ島の集落であるため平地に乏しく、細い路地が交錯し漁村を想起させる風景もあった。但し普通そのような所では漁具が虫干しされていたりするのが常なのだが、潮臭さは感じられなかった。







訪問日:2007.01.08 TOP 町並INDEX