深江の郷愁風景

広島県大柿町<港町・漁村> 地図  <江田島市>
 町並度 4 非俗化度 8 −石炭輸送船の中継基地ともなった−





厳かな構えの店舗建築も見られる深江の町並


 大柿町深江地区は能美島の南西部、海岸線が深く入組んだ湾奥に位置し、さらに湾口には大黒神島、沖野島とあり波穏やかな両港の典型のような地形にある。倉橋島を介して陸路でつながっており、呉市街地から45分ほどで到達できる。
 そのような恵まれたところで、かつては石炭輸送船の中継基地として賑わったという。筑豊炭田で産出された石炭は若松から海上輸送され、中間点の当地で一時寄港することが多かった。往時は内燃機関と帆走を併用した機帆船という船舶が主体で、航行能力が低く途中で積み替えることも多かったという。
 狭いながらも平坦地があり、面的に住宅地が広がっている。特徴的なのが商家を思わせる立上りの高い二階屋が多く見られることだ。二階部に木製欄干を持つものもあり、それらは荷の中継地であった頃の賑わいを残すものか。中心部には格式ある入母屋屋根を有する店舗建築が、古びた地酒の看板を携えている風景もあった。
 また山裾の地区には石垣を駆使し宅地を造成した箇所も目立つ。付近の島々は良質の石材の産地であり、比較的簡単に入手できることも背景にあるようだ。また一方で、人がすれ違えるだけの狭い路地が展開する地区もある。このように、狭い範囲ながら様々な集落風景が見られるのも特徴と云える。
 


 




 
港の風景






訪問日:2022.10.10 TOP 町並INDEX