小鹿野の郷愁風景

埼玉県小鹿野町<在郷町> 地図
町並度 6 非俗化度 6  -西秩父地方と上州南部も商圏に含んでいた商業町-





小鹿野の町並


 小鹿野町は秩父市の北西、秩父の市街地よりは秩父鉄道終点の三峰口から両神経由で北上した方がやや近い。
 古くから西秩父地方の中心として発展してきた。広大な山間部が展開するこの地域にあって、小鹿野は山岳地からの諸道の集約点といった位置にあり、物資が集まりやすかったことによるのだろう。5・10の日に立てられた六斉市には、絹や木綿縞物、煙草、大豆、小豆、紙などが持込まれ商われた。
 佐久地方中南部などは中山道を通るよりここを経由し峠越えする方が近道であったため、街道としての往来も少なくなく宿駅的機能も兼ね備えていたといわれる。南上州の山間部の人たちは神流川下流域に出るよりは峠一つ越え小鹿野に行く方が近く、当地域も商圏に含まれていた。大宮郷と呼ばれた現在の秩父市中心部に匹敵するほどの賑わいがあったとされるのも、そういった地の利があったからだろう。
 国道299号の一本南に旧市街地がそのまま残され、古い町並が見られる。商業で栄えた町らしく酒屋や醬油屋、旅館などが伝統的な構えを残し景観に貢献していた。表通りのみならず横路地にも土蔵や門などが風情を醸し出している。裕福な商家で奥行深い町割りであることと、路地奥に芝居小屋などが計画されたことによりこのような路地風景も残ったのだろう。所々に路地を案内する小さな看板が立てられていた。
 町は観光客を呼び込もうと努力されているようで、わらじカツ丼なるご当地グルメなどもあり外来者も少なくない。ぜひ町並も歩いていただきたいところだが、訪問者におもねるような施設が増えないことだけは願いたいものだ。








横道・横路地にも風情ある町並風景が見られるのも特徴である

訪問日:2018.09.23 TOP 町並INDEX