長崎県小値賀町<農漁村集落> 地図 (筒井浦付近を示す) 町並度 5 非俗化度 9 −島の東側に散在する集落群− |
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唐見崎地区 所々に共同井戸が見られる | |
小値賀島は佐世保市の西約70kmほどの位置、五島列島の北部を占め16諸島で構成されている。北松浦郡に属しており平戸藩領であったことから、県内では平戸諸島の一部として認識されている。 松浦氏が周辺一帯を支配していた中世を経て、江戸期に入ると平戸松浦氏のもと平戸藩が成立、小値賀には代官所が置かれ五島内の藩域を統括していた。 |
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筒井浦地区 | |
筒井浦地区の藤松家 | |
島の東側を占める前方(前方郷)地区。島ははるか昔は東西二島に分れており、中央に狭い海峡があったという。前方地区全体は東側に属していたが、鎌倉時代に松浦氏によって干拓され、耕地化され陸続きとなったのである。全体に緩やかな丘陵が続き、肉牛の放牧、畑作が盛んに行われる農業地域となっている。 大きく唐見崎、筒井浦、相津の3浦と、内陸の後目、木場、牛渡の6集落から成る。海岸部であっても基本は農業が主体だが、筒井浦では浦役所の支配下にあって漁業も行われてきた。 6集落の中で唐見崎、筒井浦、木場の集落風景を紹介したい。唐見崎は島の東端に小さく突き出た半島の先端付近に集落を持つ。港もあり船もつながれているが主体は農業で、家々は海から離れた台地の上に固まっている。明治・大正期の建物も見られるが、平戸や上五島など近隣地域からの移住者もあり住み着いたといわれる。緩い坂道に沿って渋い色の瓦に覆われた家々が見られ、板壁は黒く塗られたものも目立つ。また集落内にはかつて貴重な水源だった共同井戸が所々残り、現在でも農業用などに利用されている。 筒井浦は、地区の中心を占め漁港周辺の家並の密度が濃いが、周囲の小高い所にかけて広範囲に家々が見られる。地区の一角には藤松家が他とは異なった壮大で厳かな姿を示している。捕鯨や酒造りを手掛け、島屈指の商家だった当家は、現在改装されレストランとして利用されている。 木場地区は、生垣で囲われた屋敷なども見られ、北岸部の柳地区にも共通した農村集落の風景が展開していた。付近は丘陵がなだらかにうねり、小さな島とは思えない広々とした畑地や放牧地が展開していた。 |
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木場地区 |
訪問日:2024.10.26 | TOP | 町並INDEX |
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