大島の郷愁風景
長崎県小値賀町【漁村・農村集落】 地図 町並度 4 非俗化度 10 −小値賀島の属島 独特の制度もあった− |
大島は小値賀島の南西3km余り、面積0.7m2程の小さな島で周囲には中小の島が散在しており比較的穏やかな海域である。小値賀町営船が1日4往復している。本土から直接訪ねることが出来ないいわゆる二次離島である。 島の北東に集落と港がある。遅くとも室町期には形成されていたといわれ、わずかな平地と緩やかな斜面にかけて家並が見られる。周囲は好漁場で、ウニやアワビ、サザエなどの採取漁業を中心に水揚げされ、また肉牛の肥育、落花生などの農業が盛んに行われている。 この島の歴史で著名なのが、江戸時代から続いた互助制度で、集落内で生活が困窮した世帯を島の東にある宇々島に移住させ、魚介類の採取や放牧の自由を与えて生活の建て直しを図るというもので、建て直し達成後大島に戻り次の対象者と交代するというものであった。昭和39年頃まで続けられたこの制度は民俗学的にも貴重で、宮本常一氏などの来訪もあった。 港の待合所付近には「自力更生」と刻まれた大きな石碑があり、そこから緩い坂道に沿い板壁の家々が散らばっている。石垣が多用され、アコウの気根が絡まっている姿などが見られる。 少し小高い所に小値賀小学校の分校がある。こういった学校は今ではほとんど閉校になっているが、この分校は存続しており真新しい講堂も見えた。若者のUターン率も高いそうだ。それは互助制度の歴史に根付いた住民の共助の精神があるからかもしれない。 |
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大島の風景 上:集落上部から 下:港付近 | |
集落のあちこちにアコウの気根がからむ石垣がある | |
小値賀港とを結ぶ町営船 |
訪問日:2024.10.27 | TOP | 町並INDEX |
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