岡部の郷愁風景

静岡県岡部町<宿場町> 地図 <藤枝市>
 町並度 4 非俗化度 8  −







岡部町内谷の町並


 この岡部の町並は東海道の宿場町としての遺構で、街路が明確に残り古い町並を従えていた。旧家が連続して残る箇所は少ない。しかし都市化著しい東海道筋にあっては、それでも残っている方といえようか。しかも宿場の町並は完全に現代の幹線路からは外れているためじっくりと散策することが可能だ。
 中世には岡部(岡辺)氏、朝比奈氏の支配するところであり、諸氏の居館とともに東海道筋に街村が形成されていた。江戸初期の慶長期頃の古文書には「岡部新宿」という記述があって、この頃から泊地として本格的に整備されたようである。東の丸子宿、西の藤枝宿へそれぞれ7〜8kmとやや宿駅間が開いていたことも、岡部宿の発展を促したようだ。
 江戸末期の天保年間には本陣・脇本陣それぞれ2軒を有する格式高い宿場町を形成していた。
 静岡市にほど近いところにある割には静かな農村といった風情が町に漂っているのは、市街地とは宇津ノ谷峠を擁する山地に遮られており、また東海道本線が旧東海道を踏襲することなく町よりずっと海側に敷かれたことで、都市開発が緩やかであったからだろう。但し、古い町並として残っているのは岡部宿に従属した街村であった旧内谷村のものである。緩やかなカーブを繰返す旧道は適度に視界が遮断され、かつては防衛的な効果も発揮していたのだろう。町並探訪をする身からすると次に開ける町の風景への期待感が高まり、楽しい散策となる。
 切妻平入の旧家が随所に残る中で、洋風の構えを持つ邸宅が町並景観にアクセントを添えていた。

 




岡部町内谷の町並




岡部町岡部の町並 県道沿いにやや大柄な商家建築が残る


訪問日:2009.01.03 TOP 町並INDEX